今日・・・

朝の占いはこう言っていた。
「好きな人の関係が近づく日。二人の時間を大切にしてください」
そんなの信じられるかよ・・・学校に着くと彼女はいなかった。何となく、学校がつまらなかった。テスト結果に一喜一憂したがまあいい。俺は帰ることにした。
俺は帰る時彼女の家の前を通る。(念のため言っておきますがストーカーではありません)彼女の家には犬がいる。その犬を一瞬見た時―――彼女が現れた。朝の占いは当たったのだろうか?しかし彼女には彼氏がいるのだ。もし話し掛けて二人になったとしても迷惑かもしれない。俺はペダルを強く踏み込んだ。
今思う。あの時俺の理性が欲望に勝ったのか、と。人間が人間たる所以である理性がこれまた人間の本能でもある恋を抑えたのだ。理性に抑えられる恋なんて本気ではないのかもしれない。しかし彼女のことを考えるたび、心の底にわだかまりが出来る気がする。感じ取ることの出来ない何かが。
家に帰った俺はあることを思い出した。チョコレートには恋をしているときに分泌されるのと同じ成分が含まれているそうだ。少しの慰めに、と思い一粒口に放り込んだ。舌に乗っかった時、何となく寂しさにさいなまれた。
「ちっ、このチョコ、ビターじゃねえか・・・」
人生うまくいくものではないみたいだ。チョコが溶け終わり、自然と感じた。